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12章:スタジオ再生における低域分割方式

低域分割エンクロージャー基本設計

スタジオには必ずと言っていいほどコンプレッション・ドライバーとホーンを組み合わせたタイプが多く、その理由としてはスタジオではスピーカーに極めて大きな入力が加えられ、そのような状況下では突発的大入力やピークに充分耐えられる耐久入力の強固のユニットが必要となります。
それによりスタジオモニタースピーカーには2WAY〜3WAYタイプが適していると考えます。
音響変換効率としても15%〜20%と極めて高い特性を実現できるからでもあります。
出力感度は93〜95Lp[1W/1m]で連続入力許容範囲は300W位の特性が一般的です。
レコーディングスタジオでのモニターリングは3m地点が適切であると考えます。
通常の低域の再生限界は35Hzまであれば充分でありますが、現在の録音場合は近接録音が主流となっている為、35Hz以下の帯域まで再生特性を拡げる必要性が生じてきました。
その為、スタジオでもウーファーは低域分割が必要となります。
ほとんど最低共振周波数20Hz〜25Hz範囲に調音された46cm径低域ユニット仕様でバスレフタイプのエンクロージャーが採用されています。
理由としては密閉型に比べて、30Hz〜40Hzにおける再生出力特性に余裕を持たせることができるからです。
ダクトとエンクロージャーにおけるコーン ウーファーの出力関係はエンクロージャーの共振点でウーファーは振幅最小となり歪みも少なくなります。
さらにエンクロージャーとポートのヘルムホルツ共振点ではポートからの出力は最大となります。
結果、エンクロージャーでのウーファーとポートの出力は24dB/octと急な曲線で減衰します。減衰以下の入力音源は再生されません。
密閉型エンクロージャーでは、この減衰は12dBの曲線となります。
アンプ駆動は低域と高域を独立させた入力信号がアンプへ入る前のバイアンプ方式が有利とされています。
平均的音素材のモニタースピーカーは3dB〜4dBの以下の突発性ピークが生じるが、スタジオモニタースピーカーは8dB〜10dB程の平均レベルより高い突発的ピークが瞬間的に入っても充分耐えられる設計機構、耐熱構造となっています。
さらにユニットはオーバーライブされるとダイナミック・コンプレーション状態となりボイスコイルの温度が上昇します。
直流抵抗も上昇、アンプに追随できなくなり感度低下をもたらす原因ともなります。
これらを踏まえて低域分割エンクロージャーの製作を行う必要があります。

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